「備中風土記の丘・青江名刀伝説」プロジェクトを始動
倉敷刀剣美術館 中期5ヵ年計画を公表。
備中青江地区は,倉敷市酒津周辺を中心に,平安時代後期より天皇の御剣作刀を賜るなど,超一流の名工を多数育んだ歴史的価値の高い由緒ある地域です。古来より「青江刀」として,全国的に賞賛される刀剣発祥の地であり,約千年前から備前長船鍛冶との交流も盛んとなりました。こうした青江鍛冶輩出の背景には,青江地区が古代製鉄の一大産地であった事が挙げられます。数年前の発掘調査で,古代たたら製鉄遺跡が随所より発見されましたが,古代吉備の国に於いても,この青江地区が有数の製鉄量を誇っていたことが明らかになりました。
当館がプロジェクトを計画中の丘陵約9haは,青江地区の北側に隣接しており,現在敷地内から「菅谷1号~5号墳」と称される5基の古墳が発見されております。この「菅谷」という名称には,島根県飯石郡吉田村菅谷, 現在の雲南市吉田町菅谷「菅谷たたら山内」(重要有形民俗文化財)との関連性が窺がわれ,古代製鉄事業に深く寄与した人物であった可能性が高いと思われます。
この度の事業は文化財保護の観点から,当該古墳群を青江鍛冶の源流遺跡として,整備を進めて参りたいと存じます。そして今後,名刀「青江」の歴史的価値を高め,改めて認識を深める発展性も内臓しており,広義では倉敷市・総社市を中心とした地域色豊かな文化財産として,あるいは「真がね吹く吉備の国」への歴史浪漫の道しるべとなる事を確信して止みません。
・ 民間発行政連携型のプロジェクトに育てることは,将来地域の文化財保護に役立つと思われ,また先人が築いた歴史や文化を再認識することで地域住民の誇りとなり,豊かな心を育てる礎となるからです。 当館は倉敷市の美術館として本領を発揮する為にも,古代製鉄技術者や青江刀工の顕彰事業を中期5ヵ年計画として推進いたします。
2008.02.10 更新